久しぶりに映画を見る。
劇場でフィルムを見ると言う行為は、本当に久しぶりだった。
見に行った映画は、ミシェル・ゴンドリーが監督した「恋愛睡眠のすすめ」と言う映画。
先日、大人の麦茶の演出家である塩田さんが、
自分の日記でやたらと褒めちぎっていて(9月13日分)、とても気になったので行ってみた。
おそらく塩田さんが褒めていただけでは劇場まで足を運んだかは分からないが、主演がシャルロット・ゲンズブールだと聞いて、自分が18歳の頃に「シャルロットにハートを射抜かれてしまった」体験を持つ者としては、黙っているワケにはいくまい(ちなみに、塩田さんはシャルロットのことを40歳くらいなはずと書いているが撮影時は35歳です、念のため)。
監督のミシェル・ゴンドリーは、ビョークやケミカル・ブラザーズのPV監督としては知っていたが、長編の劇映画を見るの初めて(と言うか、劇映画の監督をしていたなど知らなかった)。
見に行った映画館は、横浜・黄金町のシネマジャック。
この映画館には、色々と思い出があるので、書きたい事はたくさんあるが、それを書くと、異常に長い日記になりそうなので、今回は割愛。
それで、この「恋愛睡眠のすすめ」と言う映画、塩田さんも書いているが、シャルロット・ゲンズブールの可愛らしさが、本当に素晴らしかった。
冒頭の部分を見た時は「やっぱり寄る年波には勝てないよな……」と思ったが、映画が進んでいくとともにゲンズブールが無茶苦茶可愛くなっていく、可愛くて仕方が無くなっていく。
映画の主人公のステファンではないが、どんどんシャルロットの事しか考えられなくなっていく感じ……。
とても35歳、二児の母とは思えなかった……。あぁ、シャルロット……。
(そう言えば、最近スキー事故で手術したらしいが、術後の経過はどうなんだろう……?)
個人的には、そう言うシャルロットの魅力が光る映画であったが、夢のシーンの演出もなかなか見事だった。
この映画の主人公は、夢と現実の区別が曖昧な青年なのだが、その夢のシーンのファンタジックな世界は、かなり魅力的だった。
段ボール、布、おもちゃ、ぬいぐるみ、紙、毛糸、セロファン……様々なマテリアルが繰り広げる、まるでアートアニメな世界。
そう言う部分の他にも、夢の世界でのシュルレアリスティックな世界観は、本当に魅力的だった。
ここら辺は、色々なミュージシャンのPVを撮影してきた監督ならではだな、と思った。
なんだか、そういう部分だけ書くと、ファンタジックな夢物語っぽいが、実際の映画は全然そんな感じではなかった。
なんだか、自分が感じた核心の部分を書こうと思ってはみたのだが、どんどん言葉を連ねていけばいくほど、核心から離れていく感覚が……。
この映画を、単に「ミニシアター系の映画」と一塊にして論じるのは、本当にナンセンスだと思うが、自分には上手い言葉が見つからない……。
もしかすると、自分自身に近すぎて、文章化できるほど客観的に見る事が出来ていないのかもしれない。あぁ、悲しい……悲し過ぎる……。
ただ、この夢と現実の区別が曖昧な青年(言ってみれば少しのキチガイだ)の中に、少しでも自分を見出してしまう人間には、かなり「痛い」映画であるのは間違いない。
なんだか夢ばかりを見てしまう人間の悲しい部分を見せつけられた、って言う感じかな。
自分は映画館を出る時に、自分自身が切り刻まれてしまった感覚がどこかにあった……。
決してアンハッピーなエンディングではないのだけれど、なんか自分としては絶望感にとらわれたと言うか……うーん、どう言っても伝わらなさそうな気がする……(泣)
なんだか、自分がこう感じた所が、塩田さんの言う「ゴンドリーは血を流している」と表現した部分なのだろうか……。
多分、塩田さんは自分と似た感覚を持っている人だと思うから、そう思う事にしておこう。
塩田さんも、あの主人公ステファンに、自分の中の何かを見出したに違いない……。
この「恋愛睡眠のすすめ」と言う映画、そういう部分の「有る/無し」で、絶対的に評価が違ってくる映画だと思う。
あぁ、本当に、何も言葉で表せていないな……。悲しい……。
誰か、知り合いでこの映画を見た人いないかな……? 個人的に、すごく人の感想が気になる映画だ。
■□追伸
10月13日(土)〜19日(金)の間、高田馬場の
早稲田松竹で(ここも久しく行っていない…)、同じくミシェル・ゴンドリーの「エターナル・サンシャイン」と併映されるそうです。
ちなみに、シネマジャックでは、10月5日(金)まで。