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病み上がり、慣らし運転中…(1.6-1.12)
1月6日(日) 熱は平熱に戻り、若干ダルさは残るものの、食欲も元に戻った感じ。 とは言え、まだ「コーヒーが飲みたい」と思えないって事は、完全に体調が戻った、というワケでもないのだろうが。 まぁ、回復はしているということで。
ザ・シネマで、ヴィム・ヴェンダース監督「ベルリン天使の詩」。 以前に見たのは高校生の頃?その時はよく分かっていなかったものの、今になってみるとなんとなく感覚的に分かる要素も多かったような気もする。 この手の作品は、色々と人生の「襞」が生まれて以降でないと、実感できない部分も多いのかな、なんて事は思った。 まだ人間になる前の天使が、様々な人々を傍観している場面はなかなか良かった。特別な力を発揮する場面もあったが、それが通じない人も居ると言うのは、実社会にも通じる部分であるかな、とも。 この作品、人々のモノローグと言うより「詩」だな、と思ったら、元々ドイツの詩人の詩を組み合わせて構成しているらしい。 「都市を描く」と言うので、ヴェンダースが取ったこの手法は、かなり「あり」なのではないか。変にナラティブな要素で陳腐な物語にするよりも、断片的ではあるけれど、都市をモザイクのように描いていくことが出来るのでは…。 そう言った「詩で描く」と言う要素もあったからか、部分的に父の詩を引用していたタルコフスキーにも似た感覚もあった。 作品の事を調べていて、撮影のアンリ・アルカンは、コクトーの「美女と野獣」を撮った人なのは初めて知った。
チャンネルNECOで、田坂具隆監督「陽のあたる坂道」。 芦川いづみが出てると言うので見てみた。芦川いづみは、裕次郎の妹で、足に障害を抱えたお嬢さん役。 芦川さん、わが永遠のヒロインとなりつつあるな…。そして、改めてほわどるのはーちゃんと雰囲気似てるよね…。 映画としては、オーソドックスな?メロドラマで、演出的にも格段どうこう言う部分もないような感じ。 北原三枝って、結構スレた女性を演じてるイメージがあったけど、この映画では結構清廉潔白な女性を演じていた。 タイトルクレジットで川地民夫に「新人」とついていたが、この映画がデビュー作だったのね。どうりで演技がぎこちない…。 しかし、2部構成とは言え3時間超えは長いな…。第一部が終わったあたりで飽きてきちゃった…最後まで見たけどね。 ちなみに、美術は先日国立映画アーカイブで特集が組まれた木村威夫。
1月7日(月) 体調はほぼ元に戻ったかな。まだ自宅で安静にという期間なので、ダラダラとしてたけど。
日本映画専門チャンネルで、田中重雄監督「女の賭場」。 江波杏子の女賭博師シリーズの第一作だが、シリーズの一作目だけあってなのか、話の「序」と言う感じで、一本の映画としてみるとちょっとイマイチだったかな。 脚本的にも、ストーリーの説明、整合性を取るという感じで、破綻はないが、その分冗長で面白みがない。 東映の任侠映画は、多少の破綻があっても力で押し切る部分があるから面白いのかもしれない、なんて思ったりも。 早いうちに江波杏子が父親の敵を討つために博徒になって切った張ったの世界で生き抜く方が映画的には面白いのにな、なんて気はした。 江波杏子の弟分的に出てくる川津祐介がなかなかカッコ良かったけど。
U-NEXTで、小原宏裕監督「制服百合族 悪い遊び」。 なんとなく、同じく小原監督が手がけた「桃尻娘」のシリーズに、百合的要素を組み込んだ映画かな…?と途中までは見ていたが、ヒロインが憧れる先輩が不倫の恋に破れて以降、展開がよく分からない…。 ヒロインが先輩に翻弄されるのも分かるのだが、中盤以降の矢継ぎ早な展開が上手い脚本とは思えない。 なんとなく暇つぶしに見てたが、本当に暇をつぶす程度の感覚しか得られなかった…。
1月8日(火) 日本映画専門チャンネルで、弓削太郎監督「女賭博師」。 江波杏子の女賭博師シリーズの第二作。勝手に連作だと思っていたが、前作と繋がりはなく独立した単体の作品。 ピアノバーを経営し、裏では博徒としての顔を持つ女性を江波杏子が演じる。そこにヤクザの切った張ったや、女の色恋も絡んで…と言う話。 前作から監督が変わり、映画としてのテンポは良くなった感はあったが、終盤が女同士のドロドロの争いを描くような形で、「あぁ大映…」という気はしたが、任侠映画的に見ると若干中途半端かな。 とは言え、やはり江波杏子と言う人は、他に代えがたい妖しげな魅力に満ちた女優さんである。
U-NEXTで、アレクサンドル・ソクーロフ監督「ファウスト」。 ソクーロフの作品は学生の頃に見た以来か。その時に「雰囲気はあるけれど、哲学がない」と思ったが今回もそんな感じ。 どことなく、クエイ兄弟の映像作品を実写化したような怪しげな雰囲気に満ちた映画であったが、相変わらず?ストーリーテリングと言う視点で言うと、この監督はあまり上手ではない気がする。 いや、上手くないと言うか、おそらく「話を語る」事に全く興味が無いのだろう。 もしかすると「ファウスト」の物語など常識で、今更ストーリーを語る意味などないと言うソクーロフの考えなのかもしれないが、ゲーテの「ファウスト」を1ページも読んだことがなく、ぼんやりとした概要だけしか知らない人間には、「ストーリー」という点では全く分からない作品だった。
1月9日(水) とりあえず、インフルエンザの自宅謹慎期間?も解け、通常運転。 とは言え、やはり病み上がりである感覚は否めず、快調という感じではなかったかもしれないが。
まほろ座MACHIDAまで、まちだガールズクワイアの「小さなディナーショー」を見に行く。 あーやんラストのまほろ座という事で、セットリストはあーやんが担当した、という事。 今回は「ICE NINE」を石田ショーキチの生ピアノに合わせて歌う場面など、スペシャルな部分があったり。 「君を忘れない」の時、あーやんともえりんが若干涙ぐんでいるように見えたのは、自分の気持の投影しただけだったのか、本当に涙ぐんでいたのか。
1月10日(木) 横浜シネマリンの大杉漣特集で、周防正行監督「変態家族 兄貴の嫁さん」。 見直すのは20数年ぶりかな。おぼろげな記憶ながら、大学のライブラリーで見た気がするが、どうだったか。 改めて見直して「あぁ…こんな話だったかぁ…」と言う程度の認識しか生まれなかったが、タイトルバックで美術・種田陽平、撮影・長田勇市、照明・長田達也と言う布陣を見て、こう言うスタッフだったのか知った次第。 この作品が小津のパロディであるというのは周知の事実ではあるが、そこを意識して見ると、逆に小津の画作りの「アクの強さ」を思い知ったし、小津のローアングルは撮影所ならではの映像だったんだな、と逆に「本家」を思い知った形。 映画として面白いかと言うと、微妙なところだが、周防さんの作るパロディによって、逆に強く「小津の作家性」を意識することになった部分はあった。 あと、下元史郎ってあんな役だったのね。覚えてなかった。以前に見た時は、下元史郎も大杉漣も全く知らない俳優であったが。 それにしても、こう言う形で「小津のパロディ」が制作できると言うのは、ピンク映画もおおらかで良き時代だったのだな、と思う部分はある。
1月11日(金) 横浜シネマリンの大杉漣の追悼特集で、高橋伴明監督「人妻拷問」。 高橋伴明のピンク映画は見た事がなかったし、下元史郎と大杉漣が出演し、このタイトルと言うとバイオレンスな匂いがしたのもあり見に行ったのだが、あんまり面白い映画ではなかったなぁ…。 何よりも脚本が面白くなく、画的にもマンションの一室ばかりで画変わりに乏しく、見ていて退屈だった。 童謡「赤い靴」が様々な場面で使われていたが、単にセンチメンタルな叙情を誘う?だけで、あまり効果的と思えなかったし。 下元史郎はカッコ良かったけど、他の映画で見た役の方が良かった役はたくさんあるし、大杉漣も若干中途半端なキャラクターだったのも否めない。 余談ではあるが、昨日に引き続き、撮影のクレジットに長田勇市を発見。
1月12日(土) U-NEXTで、チャン・フン監督「タクシー運転手 約束は海を越えて」。 タイミングが合わず、劇場公開時に見逃していた映画だが、こうやって配信で見られて良かった。 各所での評価が高いのもうなずける一本。光州事件を元にした映画であるのは知っていたが、登場する記者とタクシー運転手に関して、実際の出来事を元にして作られていたのは知らなかった。 多分に映画的な脚色はしてあるが、実際にあった光州事件と言う、軍部に寄る一般市民への弾圧をこれでもか、と言うくらいに知らしめる映画だった。 映画の締めくくりのエピソードに(そこに映画的な効果が多分にあるとは言え)、なかなか胸を熱くする部分だった。 光州事件に関しては、あまり詳しくなかったが、文章で触れるよりも、こうやって映画として触れて、その実情が肌身で触れる感じは生まれたかもしれない。 そして、今の日本でこの作品を見ると、誰もが思うことだろうが、色々な意味合いが生まれてくるな…。今の日本のメディアに、本当に「伝える」事ができているのかどうか。 それから、戦場ジャーナリストの必要性と言う思いも強くのしかかってくる。 現地に行って見た人出なければ、伝えられない事柄はたくさんある。現地の人も世界の人々に実情を訴えたいのだ、と。
日本映画専門チャンネルで、弓削太郎監督「女賭場荒し」。シリーズ3作目。 序盤、元壺振りだった父親がヤクザに撲殺されたのをきっかけに、OLだった江波杏子が壺振りとして生きる道を選ぶと言う展開。 やや突飛な感じもあるが、話がテンポよく転がっていく様は、映画としてはなかなか面白かった。 同じ任侠道を描くにしても、東映の映画にはスカッとした爽やかさも感じるが、どこかしらドロッとした部分を感じてしまうのは、大映という会社のカラーなのか、自分がそう言う色眼鏡で見ているからなのか。 成田三樹夫が「いい方」のヤクザとして出てくるが、なかなか任侠背負ってる風情を醸し出していて良かったな。 このシリーズ、やはり江波杏子の美貌にかかってるな。あの雰囲気がなければ、このストーリーで見られる映画ではないかもしれない…。
シネフィルWOWOWで、先日訃報が伝えられたベルナルド・ベルトルッチ監督「暗殺のオペラ」。 しかしながら、ちょっとよく分からなかったかな。途中で集中力も途切れてしまった…。 反ファシストの活動家だった父の暗殺の真相を追って、息子が殺害された村を訪れるが、様々な妨害にあって…と言う映画。 サスペンス映画としても作れそうな脚本ではあるけれど、サスペンス仕立てではないのは、ベルトルッチの個性という事だろうか? 撮影がヴィットリオ・ストラーロで、屋外のシーンなどが美しく、印象に残った。
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by freakbeat
| 2019-01-13 08:43
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